プロフェッショナルを労働法の保護の対象外である人、すなわち時間外手当の支給対象にしないとか労働組合に加入する権利を保障しないとする考え方は世界に広くあり、例えばフランスでは、アメリカのエクゼンプトに相当する人はカドーレとよばれやはり時間外手当の対象外である。
大学を卒業した人までブルーカラーと同じに、働いた時間の長さに応じて賃金を支払う(すなわち、時間外手当も払う)制度は異常である。卒業資格の品質管理が行われていない日本ではやむを得ないという考え方もありえるが、そうであれば、プロフェッショナルの定義を、ポイント・ファクター制度などを使ってハッキリさせる方向に進むべきである。
私がエクゼンプトの考え方について、労働省の沢田陽太郎さん(当時、労働基準局監督課監督官)に説明し、この問題を整理すべきと話したのは、日立の本社で国際人事担当の部長代理をしていた、1980年のことである。それがまだ21世紀に入っても整理できないのでは、日本の国際競争力という視点からは、大いに問題である。日本は安い賃金といった競争力で戦っているのではなく、専門性や独創性といった知的なもので競争しているので、本来的に、働く時間の長さで給与をもらう人ではなく、「仕事の成果で給与をもらう人」を増やさなければならないはずである。