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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.19  処遇(6)フリンジベネフィット

必須項目は、年金、健保、休暇、自己啓発費用

 自律したプロ人材である組織内一人親方を対象に考えた場合、「給与は市場価格、成果配分は仕事(能力の向上に繋がる仕事の機会)と賞与、長期報償給などのインセンティブで」となるのでベネフィットは重要な交渉項目となる。インセンティブは業績連動型であるため、個人のがんばりだけで確保できるとは限らないからである。(コラムvol.17 vol.18参照)

ベネフィットの項目はいろいろ考えられるが必須なのは、年金、健康保険、それに休暇と自己啓発費用である。年金は、持ち運びが可能な確定拠出型年金、健康保険は国民健保プラスアルファの給付項目をカバーできるもの。どちらも水準は、市場の平均でよい。しかし、休暇と自己啓発費用については工夫が必要である。
 

サバーティカル型休暇

 自己のキャリアにたいする関心と能力向上機会に敏感な組織内一人親方にとって、魅力となるのは、サバーティカル型の休暇である。サバーティカル型の休暇とは、3年とか5年ごとに権利が発生する数ヶ月以上の長期休暇のことである。

全力投球のあとのリフレッシュや、仕事、家庭、コミュニティ及び個人(心身の健康とスピリット)という四つの領域のバランス回復、陳腐化した知識のリニューアルなどに使用することができる。ビジネス・モデルごとに設計は異なるが、10年勤続すれば6ヶ月、20年勤続すれば1年程度は必要であろう。
この点は20C型のフリンジベネフィットとは、大いに異なるものになるが、グローバル化が進む時代には、異なる文化や最先端の知識にふれる必要は、各人の戦闘能力を維持するために、ますます高まるので、サバーティカルは不可欠である。この制度なしでは、優秀な人材を集めることはほとんど不可能ではないかとすら考える。
 

現行社内教育の最大の欠点は、費用会社負担

 一人親方は自分の人生は自分で決めるという考え方が強いので、能力開発も自己責任としてかまわない。会社が整えるのは勉強できる機会(選抜研修と各人が自分のキャリアプランにあわせ自分で選択できる多くの教育プログラム)と費用の支援である。現在、企業が行っている社内教育の最大の欠点は、「費用が会社もちのケースが大部分で、個人負担のケースはごく少ない」ことである。このため、教育内容と費用の関係についての認識が育っていない。例えていえば、お米と費用の関係である。
最近はお米の味が分からない人が増え、標準米とコシヒカリの区別ができないという。これではコシヒカリを作る人は報われない。味の分からない人は高い費用を払ってコシヒカリを食べたいとは思わないからだ。コシヒカリを食べてもらうためには、お米の味を分かる人をたくさん作らなければならない。消費者を訓練する必要がでてくる。
同様に、企業内教育の費用が会社負担であると、費用に対する関心が低下して、このくらいの値段であれば、この程度の内容という相場観が育たない。そのため、教育プログラムについて、軽自動車の値段で小型車の機能を期待したり中型セダンの機能を要求したりするケースに似かよった事が発生する。これでは、良い教育プログラムは生まれない。良いプログラムを開発するには費用がかかる。良い講師にはそれなりの講師料を払わなければならない。中型セダンは、軽自動車の値段では買えないのだ。

教育の費用と教育内容との関係が分かる人を育てないと、教育プログラムという供給の質が高まらない。教育費用が個人負担でないことが、現行企業内教育の最大の欠点である。

 

自己啓発費用は、給与として支給すべし

 教育費用を自己負担とすれば、もっと前向きに勉強する。どのプログラムを選ぶかも真剣に検討する。よって、教育の費用は年棒の、例えば5%と決めて、自己啓発手当てとして支給するのがよい。何に使うかは本人にまかせる。無駄に使ってしまえば本人の能力向上に問題が出る。その場合、良い仕事が廻ってくる確率が減る。自分に投資しない人に他人が投資する可能性は低い。自己責任とはそういうことである。
 
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