何をしたいのかを考える際、最も障害となるのは適職信仰である。適職信仰とは、この世の中にはどこかに自分に適した仕事が存在しそれを見つけさえすれば上手くいく、といった考え方である。適職は、適性検査などの方法で見つけ出せるものだという受け止めである。この考え方では、適職を見つけることは難しい。そもそも、人間の適応能力はおおきなものがあるので、向いていない仕事よりは向いている仕事の数の方が圧倒的におおい。適職を既にあるものから探そうとすると、この仕事はどうだろう、あの仕事はどうかと目が外に向いてしまい、自分についての観察がおろそかになってしまいがちである。
だが、実際の世界で成功している人は、自分らしいやりかたで仕事をする方法を見つけた人である。成功した人事課長という視点で先輩をみても、義理人情型、論理型などいろいろなタイプの人が成功している。賃金に強い人、採用に強い人、組織論に優れた人、専門性もいろいろである。営業でも、外交的な人ひとだけが成功するわけではない。どういう職業でも成功する方法が一つしかないということはありえない。無数の方法がある。要は、自分らしい方法を見つけることが成功のカギである。自分らしさを知ることが大切なのだ。