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21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.29  人材開発(8)ビジネスをマネージするのに必要なリーダーシップ

21C型HRMでは、リーダーシップ開発の支援が不可欠

HRMが従業員にたいして提供できる価値の一つが、キャリア追求の機会である。21C型のHRMの目標は、組織内一人親方に好ましい生態系をつくることにあるので、キャリア開発の支援策は、キャリアの分岐ゾーンを一人親方度が高まる方向に上手く曲がれるようにサポートすることでなければならない。(分岐ゾーンと一人親方度との関係については、「考え方の変更を迫られる三つのターン」を参照)

一人親方度レベル3に到達した人がマネージするのは「自分と他人とビジネス」だが、前回説明したように、ビジネスをマネージする際、特に求められるのはリーダーシップである。従って、レベル3の方向に上手くまがれる様にするためには、リーダーシップ開発の支援策を整備することがどうしても必要になる。

3つのターン

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変えるときに必要なのがリーダーシップ

 リーダーシップとは何かについてはいろいろな考え方がある。とりあえずここでは、物事や状況を「変えるときに必要な能力」としておこう。今日と同じことを明日もする、今月と同じことを来月もするという場合には、リーダーシップは必要がないという考え方である。また、命令で変えることができるような簡単なことを変える場合もリーダーシップは不要と考える。
社長が「好業績企業になれ」と命令して、それが実現するのであれば、だれも苦労はしない。好業績を上げようとすれば多くのことを現状から変えなければならず、それは命令だけでは達成できない。社長だけでなく多くの人が、リーダーシップを発揮して、ものごとの改善に当たらなければならない。命令では変えられないような難しいことを変えるときに必要なのが、リーダーシップである。

リーダーシップをトレーニングする方法は「自得」である。経験や手本となる事例、物語などから自分で学び、ああそうか、と自分で理解する以外に良い方法はない。リーダーシップ開発の支援策は、「経験する機会を与えること」と、「その経験を振り返り教訓を整理、次なる実践を計画、実行させること」になるが、これについては追って考えよう。

 

リーダーシップを発揮する対象は360度

 リーダーシップを発揮する対象は、変える必要がある人や物事なので、ビジネスの場合で言えば、自分も部下も同僚も上司も対象となる。キャリアは、どういう人生をおくりたいかという目標に対し、自律的に、自分らしさに基づいて選択するものであるので、まずリーダーシップを発揮しなければならない対象は自分ということになる。一人親方度レベル1では自分のマネージが課題だが、成長するためには自分を変えていくことが必要であり、この段階から既にリーダーシップはもとめられている。

 レベル2で他人もマネージする段階になれば、部下に対して変化を求める場面は避けて通れない。しかし、「上司の言うことだから」とか「人事権があるから」というのではなく、「意見に賛成だから」、「自分もそれが必要と感じたから」といった理由で変化がおこるのでなければ、リーダーシップが発揮されたとは言い難い。上司の言うことなので従った場合、変化が確実におこるかどうかは保証できないからだ。
 

ビジネスをマネージするためには、上司を説得することも必要

 キャリア開発の分岐ゾーンを、ビジネスもマネージする方向に上手く曲がるためには、これまでとは別な価値観が必要になってくる。お客さん、競争相手、企業の業績といった要素を判断基準に加えなければならない。営業部門であってもただ注文を取ればよいのではなく、会社全体として伸ばさなければならないと考えている製品は何か、その分野で競争相手に勝つためには、どういうお客さんに売り込んだらよいのか、そのためにどのような活動が必要か等など考えなければならない。考えただけでなく、実行に移すことが肝心で、プロモーションのための費用や新製品の拡販のための人材などの、ビジネスをするのに必要なリソースを獲得しなければならない。

ビジネスをマネージしようとすると、社内の他の部門と競争したり協力したりする必要が高まる。少し難しく言えば、部門の戦略と企業全体の戦略の整合性をとることが求められるのだ。それだけでなく、競争に勝つためには専門職能能力において、同業他社の同様な部署よりも優秀でなければならない。

よって、組織としての実力の向上にも意を用いなければならない。判断する際の時間軸は、従来よりもずっと長いものになる。将来のゴールと現在の目標のあいだのバランスをとらなければならないからだ。特に上司を説得するような場面では、これまでとは異なるリーダーシップが求められる。次回は上司に対してリーダーシップを発揮することについて考えてみよう。

 

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