そもそもチームを編成したのは、既存の組織だけでは解決が難しそうな何か不満な状況があり、その解決には多数の専門家が必要と考えられたからである。1)不満な状況を解決し2)より望ましい状況にしたいのだが、3)その方法については分かっていないのである。
1)を不満、2)を展望、3)をプロセスとよぶことにしよう。
リーダーがまずしなければならないことは、1)を十分に説明することである。「今のままでは何故困るのか」、「そのままにしていると、どんな困ることがさらに起こるのか」である。この仕事は思う以上に難しい。メンバーの多くは、「不満な現状は分かるとしても、自分が作り出したものではない。何故自分が解決にあたらなければならないのか」とか、「問題ではあっても、自分の身には困ることは降りかかってこない」とか考えているからである。現状の問題点についての議論を始めると、問題がおきた理由について検討せざるをえないが、議論が責任追及の方向に走りすぎると、チームは迷走する。
船底に水が入ってきているのに、責任ばかり議論していると、船は沈んでしまう。リーダーは、何故困るのか、放置するとどんな問題がそれぞれの身に降りかかるかを具体的に示されなければならない。