組織というとどうしても組織図で示されるものが頭に浮かぶので、構造(architecture)に関心が集中しがちである。architectureに「構造」という言葉をあてたが正確には、「実現したいことのために選んだ構造」で、作った人の意思、設計趣旨が含まれている。例えば、営業中心の会社の組織と研究開発が中心の会社のそれは異なっているのが普通で、分業の形態をあらわす組織図には、会社がしたいことが如実に反映される。
しかし、それだけではなく、どのような分業形態にするかは、仕事を通じて次第に固まってきた通常の意思決定の在り方(routine)も反映する。そうしないと分業の効果が上手く生じないのだ(コラムvol.58参照)。
だが、「どのようなことを便利とか効率が良いと考えるか」によって意思決定の在り方は変わってくるし、組織が持つ文化(culture)によっても便利さや効率の意味は違ってくる。製品を大量に作るときに便利なことと革新的な製品を創りだすときに便利なことは異なるのが当然である。
従って組織とは、構造 A(architecture)と通常の意思決定 R(routine)と文化 C(culture)で出来ているということができる。そして、組織がAだけでなくRとCとでも構成されていることが「変化しにくい」という性質を生む理由なのである。