世界中に競争相手がいるということは、思わぬ分野から競争相手が出現するということでもある。イノベーションがいろいろなところで発生するからで、現代の競争では、これに備える必要がある。行軍速度や即応性の重視はこのための準備だが、それだけでは受け身に過ぎるといわざるを得ない。イノベーションに対する最も有効な対策は、イノベーションの影響を受ける側に回るのではなく、イノベーションを起こす側になることである。そのためにはイノベーションを起こしやすい体質といったことを企業文化や組織、人材に求めざるを得ない。
イノベーションは、異質な考え方がお互いに刺激し合うことによって生まれると考えられているが、それを積極的に実行するのがオープン・イノベーションといわれる方法である。他人の力を借りることにより、商品開発・研究開発の速度を上げたり、コストを削減したりするのだが、このとき大切なのはプロジェクトのリーダーである。当然、複数の専門家が自由に意見を戦わせる場の設定ができるリーダーでなければならず、従来型の指揮官タイプのリーダーではうまくいかない。