(1)は、21C型HRMを考え始めたころ、グローバル化の進展とともに競争の仕方の変化が大きな話題となっていたためであり、(2)はグローバル化が進むと、世界は均質化の方向に向かうという考え方と、多様化するという考え方が存在していて、意見は定まっていなかったため、取り上げた。(3)は、HRM自身も時代の変化とともに変化してきたが、変化の理由について把握しておく必要があると考えた。変化の理由が分かれば、(1)、(2)によってHRMの変化の方向も類推できると考えたためである。
分析の結果は、
(1)は、ビジネスモデルによる競争。
(2)は「最良(best)の考え方あり」「最良はなくて最善(better)と思われる答えがいくつかあるだけ」「そうではなく基本(プラットフォーム)と応用(機能デバイス)の組み合わせで多様な要求に対応するという答えあり」という三つの考え方が併存。
(3)は、HRMは人事管理から出発し、労働組合問題が大きくなると、人事と労務の分離を行い、戦略が重要と考えるようになると、戦略の実行をサポートすべしとなったように、「企業の業績を左右する課題の解決に貢献できるよう変化」してきている。ので、これに従えば、21Cではビジネスモデルを支援するHRMが主流となると考えられる。
検討にあたっては、ビジネスモデルによる競争時代のHRMは、施策の束(例、採用方法、賃金体系、評価制度など)を組み合わせることによってそれぞれのビジネスモデルにふさわしいものが作られると想定。
施策の束を構成する部品は『HRM戦略と組織』『人材の特定』『処遇』『人材開発』『労使関係及び職場環境』の5つであると考えた。(部品区分の考え方はミシガン州立大学テキストによる)そして、部品区分に従って検討を開始した。
ただし、HRM戦略や組織については、そもそも戦略とは何か、組織とはどういう性質を持つかなどの理解があることが議論の前提になるので後の方で議論することにした。