企業にとって高齢者雇用の問題点は、個人の能力差が大きいことで、一律の処遇条件で雇用するのは、合理的ではない。能力差に合わせ雇用するのがベストである。この点、個別労働契約はぴったりな制度である。プロ野球の契約改定と同じように、65歳あたりの区切りで、各人別の状況を考慮しながら、交渉によって「1年契約でこの仕事、年棒いくら」、どうしても引き留めたい人には「3年契約、再雇用交渉権あり」、能力的に問題ある人には戦力外通告をして「雇用延長せず」などと決めればよいだけだからだ。
一方、個人にとっての問題点はなにかというと、現状、定年を過ぎて働く場合、仕事は従来の延長線で、給与水準は80%程度にダウンというのが普通である。この仕組みは雇われる方からすると、あまり嬉しくない。「経験を生かして後進の指導を」と言われても、仕事の充実感の低下は否めない。仕事が大して変わらないのに給与が下がるのも納得できない。