目標の共有化のためには、もう一つ大切な条件がある。それは仲間に対する信頼である。自分が自分の役割を全力で尽くしても、他の人が自分の責任を果たさなければ、目標は達成できない。工場が頑張っても営業がんばらなければ、業績が上がらない。お互いが「お前がだめだから上手くいかないのだ」と非難を応酬し合うのでは、目標は達成できない。 「ここは、あいつに任せれば大丈夫」と自分の役割に全力投球できるようでないと、目標の共有化は実現しない。よって、目標の共有化の下部の階層には、仲間にたいする信頼が存在しなければならない。
特に、変化が激しく、次に何が起こるか予測が難しい状況で、仕事をする場合は、チームのメンバーがお互いに信号を出しながら物事をすすめなければ、ならない。営業が現場で感じた些細な変化、製造部門が気が付いた競争相手の技術水準の変化、などなど。誰かが感じた変化を、「本当かどうか、別の視点から、確かめてみよう」というのでは間に合わない。あいつが専門家としていうのだから、きっとそうだ。直ちに対策を考えよう」でなければならない。
レンジャーのような小チームの特任部隊が、敵のひそむビルディングに突入する場合、「右側に敵がいた場合は、私が対応する、左側はきみに任せる。正面はあなただ」と役割分担し、自分の分担以外からの攻撃で負傷しても、「あいつが対応しても防げなかったのだから、しかたがない」と考えることができなければ、危険な場所に突入はできない。仲間の技量に対する信頼がなければ、不測の事態には対応できないのだ。