「一定以上の能力がなければ仲間とは認めない」という考え方は、職能別労働組合の原点となるギルドの考え方で、ギルドは、一定以上の技量の維持のために教育訓練に力をそそぎ、一定の水準に達したと、仲間に認められた人だけに、組合員の資格をあたえた。
同様にレンジャーズやシールズに代表されるような軍隊の特殊精鋭部隊も、厳しい訓練を修了できたものだけが隊員になれる。だが、単に修了証書がもらえればよいという訳ではない。仲間の評価が重要なのだ。本当に全力で課題に取り組んだかが問題で、仲間は、上官の見えないところも見ている。手抜き作業ばかりの仲間はいざという時信頼できない。お互い助け合うが、いつも助けられる側にいるようでは、仲間とは認められない。上官の評価もさることながら、仲間から仲間と認められなければ一員にはなれない。
私が少年時代、西鉄ライオンズという強いプロ野球チームがあって、その後伝説的なプレーヤーとなる選手がたくさんいた(イチローを育てた仰木監督もその一人)が、内野にとんだ平凡なゴロは誰もカバーに入らず、エラーをすると冷たい視線を向けるだけだった、という。「お前、そのくらい当然とれるよな」「あっそう、取れないの。では、仲間とは認めないよ」である。