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21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.123 HRM戦略再論(6)グローバル化の再点検
 
 

グローバリゼーション3.0

  グローバル化という現象が、「世界をどう変えたか、どう変えるか」については、このコラムを開始したころ、いろいろな意見があった。それらのどれが正しかったかを点検することは、21C型人材マネジメントがフィットすべき外部コンテキストの具体的な内容を把握する上で、どうしても必要である。

  2005年に出版され、世界的なベストセラーになったトーマス・フリードマンの「フラット化する世界 The world is flat 」はグローバル化を三時代に区分し、バージョン1.0を、コロンブスの時代から1800年まで、2.0を2000年まで、それ以降を3.0とした。それぞれの特徴は、1.0は国が、2.0は企業が主役となって促進したが、3.0では、個人が主導すると予測した。この区分を働く場という視点から日本に当てはめてみると(コラム3)、国が働く場所の決定に大きな力を持っていたのは1970年代まで、企業が決定権を持っていたのは2000年まで、それ以降は個人が働く場所を選択する時代と想定できる。現状は、どうなったか。

 
 

個人が働く場所を選べるようになった理由

  想定通り、個人が働く場所を選べるようになってきている。その理由は、企業が、世界中にいる部品・材料(広義の意味で、労働力や会計事務所などのサービスも含む)のサプラヤーを有効活用する方法を工夫したためだ。ワールドワイドなサプライチェーンの構築、自分は得意な業務に集中しそうでないことは他の人にお願いするアウトソーシングと呼ばれる業務の外部委託、市場で近いところで生産することを目的に製造現場を海外に移すオフショアリングなどが、それである。戦略論的には、資源の組み合わせで闘うという考え方が普通になったのだ。

    その結果、従来であれば国内にとどまっていた仕事が国外に流出し、多くの雇用機会とビジネスチャンスが生まれた。しかし、次第に、自然災害や政変の発生に伴うリスクの大きさも明らかになり、仕事の国内回帰も起こり始めている。

均質化か多様化か

  グローバル化が「世界をどう変えるか」については、拙著「キャリア戦略」第2章グローバル時代の競争、で詳しく検討しているが、2000年頃は二つの意見が有力であった。一つは、社会や経済の均質化が進むというボーダーレスな世界説( convergence model )、もう一つは、国別資本主義多様化説( national varieties of capitalism model )で、アメリカ・イギリス型の自由主義的市場経済とドイツ、日本型の協調主義的市場経済のように、国別に資源配分の方法が異なってくるという説であった。(中国のような国家主導型市場経済は、まだ登場していなかった)。

グローバル化が作り出す変化は多様性

  グローバル化により競争の範囲が広がれば、勝つ可能性も負ける可能性も広がる。MITのバーガー教授を中心とするチームが、「現在と同じ生活水準を子供たちに引き継げるかどうか」という問題意識をもってグローバル化の影響を研究(1999〜2005)した。その結論は上記の二つのモデルとは異なり、それぞれの企業は「自分の持つ資産を活用して市場に対応する動態資産説(dynamic legacies model )」というものであった。 資産には技術や人材、組織能力、経験や学習能力などが含まれるが、世界中の企業が持つ資産は、千差万別である。そうであれば、グローバル化がもたらす変化は多様性ということになる。次回はこの点についてもう少し検討してみよう。

 

※続きは、2月に掲載予定。

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