ホーム  
3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.125  HRM戦略再論(8)How to change時代の戦略目標のつくり方E仕事別賃金と従来型の差異

今後獲得する能力も含めて競争

  現在の企業間競争は、既に保有する能力だけでなく今後獲得する能力も含めて闘うので、生き延びるためには、多様な人材を効率よく活用する能力と、人材の育成能力の両方が必要となる。この時、メンバーシップ型と呼ばれる従来型の賃金と仕事別賃金の違いが際立ってくる。
  メンバーシップ型はチームとして仕事を引き受け、メンバーが分担して仕事を実行するので、リーダーが配分を決定するまで自分の仕事が何か明確には分からない。仕事別賃金の場合は、仕事の定義書ジョブ・ディスクルプションを読めば、知ることができる。それゆえ、仕事に必要な人材を集める場合、仕事別賃金の場合は、定義書を示しここに書かれた内容の仕事が出来ますか、と聞くだけでよいが、メンバーシップ型の場合は、集まった人により仕事の配分は変わってきてしまうので、ざっくりした内容しか説明できない。応募する人も、どうするか迷うことになる。
  また、自己の能力を伸ばそうとする時、上位の仕事の内容と難しさの程度を知ることができれば、学習目標が明確となり努力を傾注しやすい。仕事別賃金の場合は上位の定義書があるので簡単だが、メンバーシップ型の場合は、同僚、先輩のなかから誰か目標となる人物を選び、観察し、その人材の持つ技量に近づく努力をする必要がある。仕事の内容や難しさの程度の把握は、質問する力や観察能力に左右されてしまうので、あまり目標は明確とは言えない。

賃金カーブはよく似ている

  仕事別賃金は、仕事が変わらなければ賃金が大幅に上昇することはないので、個人の賃金の上昇の軌跡はメンバーシップ型賃金である年功型賃金の場合と大きく異なると思われているが、これは大きな誤解で、個人の給与の軌跡は、実は非常によく似ている。それには 仕事別賃金をささえる仕掛けの代表であるジョブ・グレード制の作り方が関係している。
  ジョブ・グレード制では、仕事の難しさの程度グレード毎に、給与の巾レンジレートが定められていて、各レンジレートには4つの区分(クオータイル)がある。金額の小さい方からファースト・クオータイル1Q、セカンド・クオータイル2Q、・・・と区分されるが、役割が設けられている。1Qは原則、当該グレードに昇格する人に適用される。4Qは昇格対象者用だが、そこに入れば昇給の機会はとぼしくなる。昇給するには、上位の仕事に就くかt新天地を求める以外にない。Up or Out が通常なのだ。

業績評価もベテランほど厳しくなる

  業績が平均(要求水準を満たしているsatisfactory)と評価され、その場合の昇給率を仮に3%とすると、Q1の人は5%上がりQ2は4.%, Q3は2%, Q4は1%昇給というように 設定される。最優秀(excellent)なら Q1は7%, Q4は4%,という具合だ。 Up or Out のためには、レンジレートの幅を決める際、「1Q から4Qに到達するには何回昇給が必要か」を、あらかじめ考慮しておく必要がある。昇給額にもよるが3回では狭すぎ、6回では広過ぎ、といった感覚で決めることになるが、業種・業界、職種で異なるのは、言うまでもない。要は、制度的に、一定期間経過後はより難しい仕事につくことを求められているのだ。その結果、個人の賃金の軌跡を追ってみると、年功的賃金の場合とよく似たものになる。そう、メンバーシップ型賃金の代表年功賃金と仕事別賃金の代表ジョブ・グレード制賃金は、どちらも経験年数の増加とともに賃金が上昇するようになっているのだ。これは、能力は経験との関係が深いという一般的な関係の表れなので、当然といえば当然な現象であるので驚くにはあたらない。だが、人材マネジメント上は大きな意味を持っている。年功賃金から仕事別賃金への制度変更の際、個人ごとの格付けの手掛かりは世の仕事での経験年数を使えばよいということだ。しかし制度の移行に際しては、職務のグレード決定ルールと個人の職務へのあてはめのルールは明確でなければならない。 次回は仕事別賃金の導入手順について考えてみよう。

※続きをお楽しみに。

前のコラムへ バックナンバー一覧 次のコラムへ

コラムアーカイブス(新しい順インデックス)はここをクリックして開閉下さい。

VOL.126(9)F仕事別賃金B 従来型の賃金と仕事別賃金は何処が同じで、どこが違うか(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.125(8)E仕事別賃金と従来型の差異(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.124(7)D仕事別賃金(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.123(6)Cグローバル化の再点検(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.122(5)B強欲資本主義対策(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.121(4)A(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.120(3)How to change 時代の戦略目標のつくり方(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.119(2)「抵抗勢力としての企業文化」対策(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.118(1)How to change 時代のHR戦略の在り方(17.HRM戦略再論 関島康雄)

VOL.117(5)仲間への信頼によるコントロール(16.組織―再論― 2019年6月掲載)

VOL.116(4)目標の共有化によるコントロール(16.組織―再論― 2019年5月掲載)

VOL.115(3)自由と統制というトレード・オフ(16.組織―再論― 2019年4月掲載)

VOL.114(2)部分と全体という問題(16.組織―再論― 2019年3月掲載)

VOL.113(1)組織を創る理由の再検討(16.組織―再論― 2019年2月掲載)

VOL.112(5)「育つ気持ち」を育てる施策IIII(15.人材開発―再論― 2019年1月掲載)

VOL.111(4)「育つ気持ち」を育てる施策III(15.人材開発―再論― 2018年12月掲載)

VOL.110(3)「育つ気持ち」を育てる施策II(15.人材開発―再論― 2018年11月掲載)

VOL.109(2)「育つ気持ち」を育てる施策I(15.人材開発―再論― 2018年10月掲載)

VOL.108(1)長寿命化の影響(15.人材開発―再論― 2018年9月掲載)

VOL.107何を奨励するか(14.処遇―再論― 2018年8月掲載)

VOL.106(3)リアル・オプションとHRM(13.人材の特定―再論― 2018年6月掲載)

VOL.105(2)多様な人材の確保(13.人材の特定―再論― 2018年5月掲載)

VOL.104(1)我が社はこういう人が好き(13.人材の特定―再論― 2018年4月掲載)

VOL.103(2)三つの手掛かりの最新バージョン(12.今後の方向 2018年3月掲載)

VOL.102(1)三つの手掛かりの再・再検討(12.今後の方向 2018年2月掲載)

VOL.101(7)変えるにはどうするかV(11.企業文化 2017年12月掲載)

VOL.100(6)変えるにはどうするかIIII(11.企業文化 2017年10月掲載)

VOL.99(5)変えるにはどうするかIII(11.企業文化 2017年8月掲載)

VOL.98(4)変えるにはどうするかII(11.企業文化 2017年6月掲載)

VOL.97(3)変えるにはどうするかI(11.企業文化 2017年4月掲載)

VOL.96(2)企業文化の違いは、国別の文化の違いより大きい(11.企業文化 2017年3月掲載)

VOL.95(1)21C型HRMで企業文化が重要な位置を占める理由(11.企業文化 2017年2月掲載)

VOL.94(15)状況への働きかけIII空気で決めてはいけない(10.リーダーシップ開発 2016年12月掲載)

VOL.93(14)状況への働きかけIIステージ別の対応(10.リーダーシップ開発 2016年11月掲載)

VOL.92(13)状況への働きかけIキーワード依存症対策(10.リーダーシップ開発 2016年4月掲載)

VOL.91(12)状況的リーダーシップ論(10.リーダーシップ開発 2016年1月掲載)

VOL.90(11)チームビルディングの技術を持つリーダー(10.リーダーシップ開発 2015年12月掲載)

VOL.89(10)「変える」に着目すると分かる事(10.リーダーシップ開発 2015年11月掲載)

VOL.88(9)競争に勝つには何が必要か(10.リーダーシップ開発 2015年10月掲載)

VOL.87(8)リーダーとフォロワーの関係に着目(10.リーダーシップ開発 2015年5月掲載)

VOL.86(7)リーダーも戦略も経験が必要?(10.リーダーシップ開発 2015年4月掲載)

VOL.85(6)効率を上げるには何が必要か(10.リーダーシップ開発 2015年3月掲載)

VOL.84(5)リーダーと普通の人は何処が違うのか(10.リーダーシップ開発 2015年2月掲載)

VOL.83(4)業績の高いチームは何処が違うか(10.リーダーシップ開発 2015年1月掲載)

VOL.82(3)リーダーシップ理論の変遷(10.リーダーシップ開発 2014年12月掲載)

VOL.81(2)リーダーシップとは何か(10.リーダーシップ開発 2014年11月掲載)

VOL.80(1)21C型HRMとリーダーシップ開発の関係(10.リーダーシップ開発 2014年10月掲載)

VOL.79(11)まとめ(9.HRM戦略 2014年2月掲載)

VOL.78(10)手掛かりIII 具体的戦略目標は、組織内一人親方に合う文化の構築 II(9.HRM戦略 2013年12月掲載)

VOL.77(9)手掛かりIII 具体的戦略目標は、組織内一人親方に合う文化の構築 I(9.HRM戦略 2013年11月掲載)

VOL.76(8)手掛かりIII HRMの戦略目標 再論(9.HRM戦略 2013年10月掲載)

VOL.75(7)手掛かりII プラットフォームとしての文化(9.HRM戦略 2013年9月掲載)

VOL.74(6)手掛かりII プラットフォームと機能デバイス(9.HRM戦略 2013年8月掲載)

VOL.73(5)手掛かりII 正しい答えは一つ(Best)か、多数(Better)か(9.HRM戦略 2013年6月掲載)

VOL.72(4)手掛かり I 競争の仕方 即応性(9.HRM戦略 2013年5月掲載)

VOL.71(3)手掛かり I 競争の仕方 複雑性の制御(9.HRM戦略 2013年4月掲載)

VOL.70(2)手掛かり I 競争の仕方 再論(9.HRM戦略 2013年3月掲載)

VOL.69(1)HRM戦略とはなにか(9.HRM戦略 2013年2月掲載)

VOL.68(14)組織と戦略 VII 緊急展開部隊が成立する条件(8.組織 2012年11月掲載)

VOL.67(13)組織と戦略 VI 緊急展開部隊(8.組織 2012年11月掲載)

VOL.66(12)組織と戦略 V 活用・探索の二兎を追う方法(8.組織 2012年11月掲載)

VOL.65(11)組織と戦略 IIII 探索型に好ましい人材マネジメント(8.組織 2012年10月掲載)

VOL.64(10)組織と戦略 III 優位性活用型に好ましい人材マネジメント(8.組織 2012年9月掲載)

VOL.63(9)組織と戦略 II 優位性の活用か、それとも探索か(8.組織 2012年7月掲載)

VOL.62(8)組織と戦略 I ビジネスモデルは組織に従う(8.組織 2012年6月掲載)

VOL.61(7)組織設計上の留意点 V フラットな組織(8.組織 2012年5月掲載)

VOL.60(6)組織設計上の留意点 IIII 縦の繋がり(8.組織 2012年4月掲載)

VOL.59(5)組織設計上の留意点 III 分ければ固まる(8.組織 2012年1月掲載)

VOL.58(4)組織設計上の留意点 II 分ければ離れる(8.組織 2011年12月掲載)

VOL.57(3)組織設計上の留意点 I 分けると起こること(8.組織 2011年11月掲載)

VOL.56(2)組織は競争優位性の源泉(8.組織 2011年10月掲載)

VOL.55(1)組織はビジネスモデルに従う(8.組織 2011年9月掲載)

VOL.54(18)グローバル人材とは(7.グローバルな競争と人材開発 2011年8月掲載)

VOL.53(17)グローバル経営幹部研修(7.グローバルな競争と人材開発 2011年7月掲載)

VOL.52(16)グローバル化プログラム レベル2(7.グローバルな競争と人材開発 2011年6月掲載)

VOL.51(15)フェーズ3の課題 IIII グローバル人材開発プログラムの全体像(7.グローバルな競争と人材開発 2011年5月掲載)

VOL.50(14)フェーズ3の課題 III 外・外コミュニケーション(7.グローバルな競争と人材開発 2011年4月掲載)

VOL.49(13)フェーズ3の課題 II 外部人材の活用(7.グローバルな競争と人材開発 2011年3月掲載)

VOL.48(12)フェーズ3の課題 I 地域本社(7.グローバルな競争と人材開発 2011年2月掲載)

VOL.47(11)グローバル化プログラム レベル1の開発(7.グローバルな競争と人材開発 2011年1月掲載)

VOL.46(10)現地化プログラム レベル2&3が必要(7.グローバルな競争と人材開発 2010年12月掲載)

VOL.45(9)フェーズ別の対応策(7.グローバルな競争と人材開発 2010年11月掲載)

VOL.44(8)フェーズ3の問題点(7.グローバルな競争と人材開発 2010年10月掲載)

VOL.43(7)自動車産業の発展段階(7.グローバルな競争と人材開発 2010年9月掲載)

VOL.42(6)振り出しに戻ったグローバル人材開発(7.グローバルな競争と人材開発 2010年8月掲載)

VOL.41(5)飛び級と、進級しないという選択(7.グローバルな競争と人材開発 2010年7月掲載)

VOL.40(4)海外事業の発展段階と人材 II(7.グローバルな競争と人材開発 2010年6月掲載)

VOL.39(3)海外事業の発展段階と人材 I(7.グローバルな競争と人材開発 2010年5月掲載)

VOL.38(2)垂直統合方式の修正(7.グローバルな競争と人材開発 2010年4月掲載)

VOL.37(1)グローバル化が人材開発に与える影響(7.グローバルな競争と人材開発 2010年4月掲載)

VOL.36(15)選抜制度を実行するために必要な工夫(6.人材開発 2010年3月掲載)

VOL.35(14)キャリア開発上の分岐点と選抜研修制度(6.人材開発 2010年2月掲載)

VOL.34(13)ビジネスをマネージする技術としてのチームビルディングII(6.人材開発 2010年1月掲載)

VOL.33(12)ビジネスをマネージする技術としてのチームビルディングI(6.人材開発 2009年12月掲載)

VOL.32(11)専門性の開発の土台は、自分らしさと自律性(6.人材開発 2009年11月掲載)

VOL.31(10)他人をマネージするのに必要な「静かな自信」(6.人材開発 2009年10月掲載)

VOL.30(9)リーディングアップ(6.人材開発 2009年9月掲載)

VOL.29(8)ビジネスをマネージするのに必要なリーダーシップ(6.人材開発 2009年8月掲載)

VOL.28(7)キャリア開発上の分岐点(6.人材開発 2009年7月掲載)

VOL.27(6)キャリア開発(6.人材開発 2009年6月掲載)

VOL.26(5)キャリア追求の機会の提供(6.人材開発 2009年5月掲載)

VOL.25(4)ステークホルダーとHRMが創造できる価値 II(6.人材開発 2009年4月掲載)

VOL.24(3)ステークホルダーとHRMが創造できる価値 I(6.人材開発 2009年3月掲載)

VOL.23(2)HRMのステークホルダーと人材開発(6.人材開発 2009年2月掲載)

VOL.22(1)人材開発のためのビジョン(6.人材開発 2009年1月掲載)

VOL.21(8)21Cは、選び交渉する世界(5.処遇 2008年12月掲載)

VOL.20(7)処遇のフレキシビリティを保つ工夫(5.処遇 2008年10月掲載)

VOL.19(6)フリンジベネフィット(5.処遇 2008年9月掲載)

VOL.18(5)長期報償給( Long term incentive plan )(5.処遇 2008年6月掲載)

VOL.17(4)給与か、インセンティブか、それともベネフィットか(5.処遇 2008年5月掲載)

VOL.16(3)個人が、自分を代表する人を選ぶ(5.処遇 2008年4月掲載)

VOL.15(2)当事者間で決める場合の問題点(5.処遇 2008年2月掲載)

VOL.14(1)水準は誰と誰が決めるのか(5.処遇 2008年1月掲載)

VOL.13(3)プロも見習いも、速い人もスローな人も(4.人材の特定 2007年12月掲載)

VOL.12(2)「仕事は大変だが面白い」が分かる人が好き(4.人材の特定 2007年11月掲載)

VOL.11(1)わが社は、こういう人が好き(4.人材の特定 2007年10月掲載)

VOL.10(4)部品の山の再定義(3.HRMの創り方 2007年9月掲載)

VOL.9(3)施策の束の作り方(3.HRMの創り方 2007年9月掲載)

VOL.8(2)簡単にマネされるものと、そうでないもの(3.HRMの創り方 2007年7月掲載)

VOL.7(1)ビジネス・モデルを支援するHRM(3.HRMの創り方 2007年6月掲載)

VOL.6(5)正義の味方かダークサイドか(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年5月掲載)

VOL.5(4)最良か最善か、それとも基本と応用か(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年4月掲載)

VOL.4(3)世界均質化か、それとも多様化か(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年3月掲載)

VOL.3(2)グローバリゼーション3.0(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年2月掲載)

VOL.2(1)競争の仕方について(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年1月掲載)

VOL.1モチベーションとは、The Energy to Do(1.はじめに 2006年12月掲載)


「21世紀型人材マネジメント―組織内一人親方に好ましい生態系の創り方―」をテーマに、これからも関島康雄のコラムを掲載していきますのでご期待ください。また、このコラムに関するご意見・ご感想もお待ちしております。
※ご意見・ご感想はメールにてお寄せください。メールアドレスは連絡先のページを参照願います。

Copyright since 2006  3DLearningAssociates All Rights Reserved.