選択したキャリアが従来からあるもので、キャリアを取り巻く競争の状況が比較的誰にでも把握、あるいは予測可能な場合は、自分の特徴点に合わせて競争の仕方を選択する必要がある。競争の状況とは、
1)その分野の専門家になることの難しさの程度。難しいほど新規参入は制限されていることになる。従って専門家になるのは大変だが、なってしまえば比較的安定した生活が期待できる。たとえば医師や弁護士。
2)分野が重なる専門家が他にいるかどうか。公認会計士の仕事と税理士の仕事は重なる部分があり、場合によっては代替可能である。代替可能な専門家の数が多いほど競争は厳しくなるので自分の特徴を強く打ち出す必要が出てくる。現代では思わぬ分野の競争相手が出現する可能性が高い。普通、ゴルフのレッスンプロの競争相手は、テニスのコーチやダンスの先生なのだが、海外旅行や温泉に出かける人が増えるとお客さんが減ってしまう。その意味では旅行代理店のプランナーは新しい競争相手である。
3)その専門分野の仕事に対する需要はどのくらいあるのか、増えているのか、減っているのか。例えば、個人資産が大きい人が増えれば、ファイナンシャル・プランナーに対する需要は増加すると考えられる。
4)仕事をする上での必要な情報や専門性を高める教育の機会は、十分にあるかどうか。司法試験を受けるための予備校はあるが、為替取引の専門家を育てる専門学校はまだないので、実務を学ぼうと思ったら、銀行とか商社に就職しなければならない。
5)目標とする専門分野に、どのくらいたくさん専門家が既に存在するのか。既に大勢いるのであれば、それらの人と自分を差別化できるかどうか考えなければならない。