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コーヒーブレーク(4)

 
女子オープンボランティアの記 I

とてもたくさんの人が必要

 10月1日から4日まで、千葉県の我孫子ゴルフ倶楽部で日本女子オープンが開催されたのはご存知の方も多いと思います。横峰さくらさんと宋ポベさんのプレーオフになった試合です。この競技のボランティアを3日間務めたのですが、「ゴルフのトーナメントはこんなふうに運営されているのだ」と理解でき、以後、TVでのゴルフ観戦が、一層楽しいものになったので、皆さんにその一端を紹介したいと思います。

ゴルフトーナメントを円滑に運営するためには、競技委員のほかに受付や場内整理、スコアの掲示や選手の練習のお手伝いなど、いろいろな裏方が必要です。一日あたり必要なボランティアの数は、およそ500〜600人で、女子オープンの場合、その半数を我孫子ゴルフ倶楽部の会員が務めました。私に割り当てられたのはマーシャルという役でした。
テレビ中継のとき時々写る、グリーン周りで「お静かに」というボードを掲げたり、フェアウエイを横断する人の交通整理をしたりする係です。
1ホールごとに、ティーグラウンド周辺、フェアウエイの中間、グリーン周りの3ヶ所に配置されます。ショートホールの場合は、中間は必要がないので二ヶ所だけ。ティーグラウンドとグリーン周りはそれぞれ3人、中間には2名で、1ホール最低8名が必要になりますが、昼食やトイレ休憩時の交代要員を入れると、3名ほど増やす必要があります。
その結果、18ホールでは、10名掛ける14で140名、ショートホールは6人足す交代要員2人の計8名掛ける4で32名、合計172人が最低限必要ということになります。4日間ではマーシャルという仕事だけで、延べ688名という大変な人数になります。
 

試合の様子は分かるけれど、選手のプレーは見ることはできない

 仕事は予選の場合は6時30分に集合し、仕事の説明を受け、スタートホールに近い順に配置に着きます。1番ホール担当の人は、一番先に配置に着かなければいけませんが、一番先に仕事が終わります。予選はアウト、インの両方からスタートします。1番ホールを全員通過すれば仕事は終了ということになりますが、その後グリーン周辺の芝を起こす作業が残っています。これは、選手やキャディー、報道関係者に踏まれて寝てしまった芝をたてて、ラフに入ったボールを元の通り打ちにくくする作業です。

私は、予選の二日間は9番ホールで「お静かに」をやりました。選手がパッティングの構えに入ったら観客の方を向いて、静かにしてもらいます。ゴルフ観戦に慣れている人は、パッティングに入ると動きを止めて静かにしてくれますが、ひいきの選手を追いかけて移動する人や、初めてゴルフの試合を見る人は、なかなか静かにしてくれません。しかし、こちらと眼があうと気がついてくれます。

同僚の女性マーシャルの体験ですが、どうしても仲間同士の話をやめないご婦人方がいたので、「初めてですか」と尋ねると、そうだという答えでしたので、選手がパットをするときには静かにしないといけない理由を説明したところ、「それは知りませんでした」という答が返ってきたそうです。ゴルフが盛んになったといっても、まあ、そんなところでしょう。一方で、最終日の優勝争いも面白いが、予選通過がかかっているので、スコアの下の方の人まで眼の色を変えてがんばる二日目がもっと面白いという「通」の観客もいました。

 

今、何番ホールでプレーしているか?

 マーシャルをしていると、いろいろなことを質問されます。トイレ、お弁当を売っている場所、帰りのバスの乗り場、などなど。しかし最も多い質問は、「今、横峰さくらはどのあたりでプレーしていますか」などの選手の居場所に関するものです。

これに答えるためには、決勝の場合は次のような計算が必要です。決勝は二人一組で7分おきにスタート、8組ごとにグルーピングされていてグループごとの間隔は10分になっています。横峰は3日目まで4アンダーで26組目のスタート。26割る8は3余り2です。従って、7掛ける7(1グループ8組だと組と組の間の数は7)の49が3グループで147分、それにグループ間隔の30分と7分(4番目のグループの2番目)を加え184分、従って横峰は1組目のスタートから3時間4分後です。1組目のスタートは8時10分ですので11時14分のスタートになります。
(実際は微調整があり11時13分、入場者に渡されるパンフレットには、決まったスタート時間が記載されているので当日はこんな計算はしなくても澄みますが、お目当ての選手を見るためには、明日何時ごろゴルフ場にいけば良いかを考えるためには必要です。予選の場合は1組3人で、間隔も短いので上記とは異なりますが、同様な理屈で計算できます)

さて、スタートした後どこにいるか?ですが、スタート時間の間隔は、「前の組が第2打を打って歩き出した後、次の組が打ち始めるまで時間」と考えられるので1ホール終了には7分プラスグリーンまで歩く時間とパッティングでおよそ15分、よってスタートから30分後には、2番ホールのグリーンいるか3番ホールにいることになります。
質問に答えるには、現在プレー中の組は誰なので、それより前の(あるいは後の)Xさんはこのあたりと計算するか、スタート時間からの経過時間を15で割って、この辺にいると類推するのですが、結構たいへんでした。

次回は、マネジメントの視点からボランティアの運営方法をながめるとどう見えるかについてお話しましょう。

つづく 

 
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