現状この割れ目を超えさせるのに障害となっているのは、昇進に対する女性の意識である。仕事を掴みにいってもらわないと、「仕事が人を育てる」が適用できないので、この点をなんとかしなければならない。そのためには、昇進にしり込みする必要はないことと、「主としてなにをマネージするかという視点」から見るとプロ人材には三つのレベルがあるというコンピテンシー重視型のキャリア観を理解してもらう必要がある。
要は、「課長になってから課長の能力をつける」で大丈夫だし「仕事は全部自分でやる必要がない」が、「なにをマネージしなければいけないか」を理解し「時間の経過とともにマネージ出来るようにならなければいけない」ことが分かればよいのだ。
一方で、競争の実態はまだ「男性は100M競争、女性は家庭というハンデキャップを背負っているので実質105M駆けなければいけない」は変わらない。よって、このことを正面から認めた対策が必要である。それが、リーダーシップトレーニングである。
リーダーシップは、組織を動かすときにも、自分の仕事の効率を上げハンデー分をカバーしてしまうためにも有力な武器である。子育てにも、家族の協力を得るためにも役立つ。さらには、仕事を取りに行こうと自分を動機づけるときにも有用である。リーダーシップは自分自身に対しても発揮できるのだ。人材開発担当者のリーダーシップについての理解が、「先頭に立つのがリーダー」、「リーダーシップは組織の長に必要」という古いタイプだと、この発想は生まれない。