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コーヒーブレーク(24)

 
第18回Wharton Leadership Conference 報告

  毎年1回フィラデルフィアで開催される上記会合に2年ぶりに参加しました。

今年のテーマは、複雑で不確かな世界にどう備えるかPreparing for a Complex and Uncertain World で、9人のプレゼンターがそれぞれリーダーシップに関する講演をしたのですが、なかでも大リーグのクリーブランド・インディアンズの社長マーク シャピロMark Shapiroさんの話が面白かったので報告します。

 

市場の挑戦を克服するさいのリーダーシップの役割
Leadership’s Role in Overcoming Market Challenges

  はじめに、インディアンズがどうして有名かというと、「少ない給与で選手を集めているのに強い」からです。これは、ヤンキースやドジャースが大金をばらまいて有名選手をかき集めているのとは異なる方法です。実際にシャピロさんがチームのGMであった期間にインディアンズは2007年96勝66敗という大リーグでの最多勝レコードを記録していますし、2005年にも93勝を挙げています。以下シャピロさんのプレゼンです。

 

市場の挑戦

  市場のチャレンジとは以下のような状況です。@フットボールやバスケットボールなど、他のスポーツとの競争、A選手に対する給与が収入の大部分(75%)を占めるという事業構造、Bクリーブランドというフランチャイズ都市の人口減少、Cクリーブランドはアメリカでもっとも貧乏な大都市ランク2位、D球場のあるダウンタウンの人口は、わずか13000人など。いずれも球団の経営を難しくする要因です。

 

対策 リーダーシップに着目した人材マネジメント

1.基本要素base lineと選別要因 separators

  市場の挑戦にたいする対策は、人材マネジメント戦略の中心にリーダーシップを置くというもので、人材の採用にあったて基本となるものと選別要素となるものを区別して考えて選考しました。

基本は学習能力が高いといったプロに必要な能力、それに加え選別要素として、タフであることとか責任感が高く信頼できることなどをあげました。

いずれもリーダーシップの基本要素です。この基準によってえらばれたのは、例えば6ゲームノーヒットだと夜行便で移動の後でも、午前10時からバッテング練習に自発的に球場に来るような選手です。(6ゲームヒット無は、ほっておくと大きなスランプにつながってしまうという経験則あり)

 

2.組織文化

  人を育てる場として大切なのは、組織が大切と考える価値は何か、Organizational Values とよばれるものですが、インディアンズでは Respect, Trust, Empowerment, Ownership としました。オーナーシップは、リーダーシップがあってはじめて責任を持って仕事ができるので、その意味で重要です。以上の4つが組織の文化になるよう、たとえば高校生のインターンにも教育しました。インディアンズの組織でインターンを高校時代に3回経験、その後入社というのが通常のパターンです。

 

3.サクセション・プランの作成

  育った人は順次卒業していき、他のチームの重要なポジションにつきます。これはプレヤーもスタッフも同様です。ですからこの流れを切らさないよう、計画的な採用をおこない育てるためサクセション・プランを作成しています。リーダーシップの構成要素はコミュニケーション能力、優先順位をつける力、気づき能力です。これらに加え選別要素として責任感と信頼感、これらに優れた人材を、時間をかけて育成するのが基本戦略です。

関島コメント:インディアンズのやり方は、育てて他社にも供給するという意味で、GEの幹部育成方法とよく似ていると感じました。

 以上
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