不確実性の程度を区分することにより、対処策を考えやすくしよう、というのが「不確実性の4象限」だが、思わぬことが起こった場合の対処策を予め用意することにより、リスクを軽減するという対処策もある。それが、リアル・オプションと呼ばれる戦略策定上の考え方である。
もともとは、金利、株価、債券価格、為替など、いろいろな動きをするものの組み合わせ(ポートフォリオ)により、金融資産価値の変動という不確実性に対処しようとするものだが、不確実なものは、金融市場の動きだけではない。研究開発や企業経営なども不確実性が高いものなので、その理論は適用が可能と考えられ、それぞれの分野に取り入れられはじめた。
キャリアもまた不確実性が高いものなので、この理論が応用できると、組織内一人親方のすすめ 2.0 では考えている。例えば、起業する場合のリスクの低減策として、である。だが、それを説明する前に、リアル・オプションとはどんなものなのか、研究開発に適用した場合を事例に説明しよう。