そこで、文化とは何かが問題となる。文化とは、組織が積み重ねた経験から創り出した自己認識である。何が便利かについての判断は、内部コンテキスト(自分は何が好きか、何が得意か、成功・失敗などの経験から得たノウハウ等)についての認識と、外部コンテキスト(ビジネスをとりまく環境や競争相手の状況)の認識により決まってくる。それらの認識に基づいてビジネスモデルが選ばれているのであり、どうやって競争に勝つかについてのイメージも決まってくる。
効率の良い生産が得意で、そのためにいろいろ工夫することが好きという企業文化であれば、勝ち方の基本は価格と品質に置かれ、新製品の開発速度や市場の変化の感知などが重要になる。その場合の組織構造は、営業、設計、製造といった組織間の連携はどちらかというとタイトで、お客からの苦情、それに対してとられた対策などの情報は、組織間を素早く流れなければならない。そのため、時に、各組織はルーティンや本来の役割分担の枠をこえて行動することが求められる。そして、一件落着後、どうして問題が起こったのか、再び起こらないようにするにはどうしたらよいかが議論され、結果がルーティンに取り入れられる。こういうプロセスが繰り返し起こるようであれば、組織のチームワークは良いと判断できる。組織の効率はARCのコーディネーションによって左右されると言ってよい。