但し、周りの期待も訓練も、個人が自分自身の能力向上に力を注ぎたい、自分で成長したいと思わない限り効果がない。やはり目標が必要で、目標設定のためには「何をしたいか、好きなことは何か」」が自分で分かっていなければならない。しかし、自分自身のことはなかなか分からないのが普通である。それゆえ、したいことが分からなくても心配しなくて良い。仕事をしているうちに徐々に目標がはっきりしてくれば良いのだ。ただし、「部長や役員になりたい」とか「グローバル人材になって世界で活躍したい」などでは、目標となりにくい。努力しても報われないケースがしばしば、というのがグローバル競争時代の冷厳な事実だ。
何になりたいかではなく、何をするか、をキャリア目標とすべきである。特に75歳まで働くことが必要になる年代の人(現在の課長さん以下の人)は、一つのキャリアで生き抜くことは、とても難しい。(コーヒーブレーク 38〜42長寿命化とキャリア戦略 参照)勤務期間が長いということは、それだけ多くの変化に直面するということである。キャリア目標を考える上では、今後どの様な人材が必要になるかといったニーズの面からの考慮(外部コンテキストの分析)や自分が持っている能力(今後獲得する能力も含む)の分析(内部コンテキストの分析)を行ったうえで目標を設定するという戦略的アプローチを心がけた方がよい。