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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(59)

 
新チームビルディングの技術IV 「教わる」から「自分で見つける」へ

Make or Buy の原則の修正

  環境変化が激しいと対処すべき現象が、従来と異なる新しいものである場合が多い。新しい現象なので、対応の仕方は、自分で見つけなければならない。同じ経験をした人が教えてくれるのを待っていては、変化に取り残されてしまう。そのためHow to change の三種の神器の一つ俊敏agile の意味は、人の育成の場合、「自分で育てる」となる。

   Make or Buy の原則は、「競争に勝っていて時間のある場合はmake 、負けている場合は、時間を買う意味で buy 」なのだが、買おうと思っても新しい現象の場合、対応できる人がまだいない場合が多い。売る人がいなければ,make しか選択の余地はない。

  もともと、「人を育てなければチームの意味がない」とする理由は、変化が激しい時代は計画通り物事が進まないので、計画第一の考え方、すなわち「計画に従って必要な資源を集める」ではなく、資源第一の考え方、「今もっている資源を中心に計画を立てる」の方が良いと考え、持っている資源には、今後獲得する資源も含まれる、と考えるようになったためである。チームをつくる理由は、現状を変えるためだが、チームの作業プロセスには変えるのに必要な人材を育てることは、計画上織り込み済みでなければならない。

 

勝っても負けても一試合毎に強くならなければならない

  変化の激しい時代、勝ちパターンは定まらない。一回勝ったからと言って、次も勝てるとは限らない。負けた方も次は勝てる状況がまわってくるかもしれないので、簡単にはあきらめない。そのため、現代の競争は長く続く競争になる。1回1回の競争に勝てるかどうかではなく、競争の場にとどまれるかどうかが肝心だ。勝った理由、負けた理由を良く分析し次に備えることが出来なければならない。その意味で、経験から学ぶ能力が大切になる。長い目で見れば、チームの勝、負けの回数よりも学習の量のほうが重要である。この場合「学習」とは、「刺激に反応して行動様式が変わること」である。チームの活動という刺激を受けて、チーム内外の人の行動様式が変われば、学習が起こったと言える。

      agile という視点からいえば、チームが学習したことがチームのメンバー以外の人にも伝達されることが不可欠だし、学習したことの伝承も課題である。

 

自分で見つける

  人が育つとは、自分で判断し行動できる範囲が広がることだ。チームの活動を通していろいろ学び人が育てば、学習は伝承されたと言える。仮に、チームをつくった目標が達成できなくても、失敗を通して、次にどうすれば良いかを学べば、費やされた費用や時間は無駄にはならない。

  人が育つには、育てる力、育つ場、育つ気持ちの三つが必要である。チームでの活動は 育てる力や育つ場を提供してくれるが、育つ気持ちは本人次第である。しかし、チームには、ロールモデルとなりそうな人が周りにいるケースが多いので、育つ気持ちを引き出してくれるので、あまり心配しなくてもよい。心すべきなのは、自分でAh−Haと納得することだ。見本となる先輩を見て、「ああそうか、ああいう仕事が出来なければいけないのか」「あのような準備が必要なのか」などと気が付くことが大切だ。人に教えられたことよりも自分で気が付いたことの方が身に付く。

  気が付くことが大切な理由はもう一つある。どんな仕事も上手にやる方法が一つしかないということはない。必ず複数の方法が存在する。その中から自分に合う方法を選べば良い。合う方法がなければ、自分で創ればよい。教わるのではなく自分で見つけるのだ。

人が育てば次の試合を有利に運ぶ可能性が増える。相手も努力するので勝てるかどうかは分からない。しかし、人が育たなかった場合に比べれば、少なくとも競争の場に留まる可能性は広がったと考えられる。How to changeの三種の神器野もう一つ、即応体制readiness の充実ができたからだ。

 

つづく

 
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