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コーヒーブレーク(66)

 
新チームビルディングの技術IX「先頭に立たないリーダーシップ」という考え方2

状況対応型リーダーシップ Situational leadership

  コロンビア大学のフェンロン教授によれば、リーダーには4つの顔があるという。
  @大きい組織を率いる場合、A個人として振る舞う場合、Bコーチとして指導する場合,Cグループをリードする場合、の4つだ。それに、変化を作り出す時に必要なプロセスの5段階、?立ち上げ期、A混乱期、B平常化期,C活動期、D終息期がある。リーダーは、この20通りの状況に対応しなければならない。
  状況対応型のリーダーシップをsituational leadership と呼ぶ。リーダーは状況に応じてリーダーシップの発揮の仕方を変えるべき、という考えかたである。しかし、変化を創り出すために何をしなければいけないか、についてはある程度、プロセスが定まっている。@まずは、先頭に立って、進むべき方向を示す大きな絵(ビジョン)を提示する。A次に、ここからは皆の知恵を集めるためのサポート役として、多様な人材を集め、自由闊達に議論する場を設定する。そして、「撃て、狙え」方式で議論を進め、経験したことから学習し進む方向を修正するよう調整役を務める。B結論がでた後は、再び先頭に立って、Ah・Haの 整理やリエントリー・プログラムの策定を指導する必要がある。これは、全体の振り返りや教訓の整理は、ともすると手抜きをされがちであるからだ。

 

リーダーの役割は場面により異なる

  指揮命令型でないリーダーシップ理論が生まれた理由は、時代の関心が、「資本主義と社会主義のどちらの体制が効率的か」というものから、アメリカ、ドイツ、日本などの「同じ資本主義国の間の競争に勝つには何が必要か」に移ったことにある。そのため、リーダーシップに求められる特性も「効率向上のために必要なもの」から「競争に勝つために現状を変革するのに必要なもの」に代わっていった。同じ時代的背景は、戦略論にも影響を与えた。「事前によく計画を立てることによって効率をあげて勝つ」から、「事前の計画もさることながら、事後の対応が勝敗を左右する」という考え方に変化している。どちらも変化に対する反応に関心が動いている。  効率をあげるために研究の対象となったのは、現場の第一線監督者だが、現状を大きく変えるには、より大きい責任権限を有する人を対象とせざるを得ない。課長、部長、経営者などの人々の行動様式はどうあるべきか、を追及しなければならない。

 

一試合ごとに強くなるための仕掛け

  複雑な問題に対処する場合、リーダーの役割は、「先頭に立つ」から、どちらかというと「裏方に近いもの」に変わってくる。議論は、 目標を参加者に理解してもらう立ち上げ期、どうして、だから、それなら、といった言葉が飛び交う混乱期、といった段階を経て、次第に進むべき方向が見え始め、「こういう方法もあるのでは」、とか「手順は、こうする方が良い」などの具体的提案が出始める平常化期、活動期へと進むが、最もリーダーシップを発揮しなければならないのは終息期である。一試合ごとに強くなるためには、経験から学んだことを次に引き継ぐことができなければならない。そのための反省でありAh・Ha の整理である。だが、そのためには工夫が必要である。一般に、大人は子供のように、経験から率直に学ぶことが、上手ではない。これまでの経験によって創られた自分の考え、持論が、 学習を邪魔するからだ。よって、学習の仕方について見直してみる必要がある。
  「学習とは、何か刺激を受けたことにより、行動様式が変化すること」だ。次回はこの点について考えてみたい。

以上

 
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