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コーヒーブレーク(70)

 
How to change 時代のキャリア戦略@

キャリア戦略も修正しなければならない

  コーヒーブレークの56回「新チームビルディングの技術」で、ビジネスを取り巻く環境の複雑性が高まり、今後おこることの予測が難しくなったと書いた。「複雑性が高い」とは、「半ダースから数ダースのパラメーターが同時に微妙なつながりを持って変化する状況」と定義されるのだが、そういう場合、事前の予測はあたらず想定外のことがたくさん起こる。そのため、競争原理は「強いものが生き残るのではなく変化に適応出来たものが生き残る」という進化論的なものになる。時代が、何を創るか What to make から、どう適応するか How to change に変化したのだ。当然、個人のキャリア戦略(この場合、自分にとって望ましい人生を送るために実行しなければならないこと、障害となることへの対応策などを、重要度を勘案のうえ時系列的に記述した計画書と定義、)も修正が必要になる。

 

拙著「キャリア戦略」(経団連出版 2016)の主張

  キャリア戦略上、変えなければいけないポイントを見つけるために、はじめに上記の本で主張した考え方の大筋を整理しておこう。
  1.計画された偶然性理論は、正しい。
  この理論は「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事により形成される。だだし、自分にとって好ましい偶然が起こるよう日頃から能動的な行動をとっている人には、結果的に、好ましい偶然が計画したように起こる。」というものだが、「正しい!」というのが、関島の人生を振り返ってみての感想である。「いつか訪ねてみたいと思う都市や場所は世界にたくさんある。しかし、今すぐ休暇を取ってそこへ行こう、とは考えない。そのうち、仕事やその他の理由によって、そこに行く機会と理由がきっと生まれるはずだからだ。」と拙著「組織内一人親方のすすめ、こうすればうまくいくキャリアデザイン」経団連出版 2006に書いたが、実際そうなったからだ。
  2.自分らしさは仕事を通して見つけるのが良い。
  子供の頃からやりたいことがハッキリしていて、ずっとその夢を追いかけられる人や、音楽やスポーツなどの特別な才能に恵まれた人は別にして、普通の人に適した自分らしさの見つけ方は、仕事を通して、である。仕事と人生は、織物の経糸と横糸のように分かちがたく結びついている。その為、何が得意で何がそうでないか、何が好きで何が嫌いかなどを、仕事を通して観察するうちに、次第に自分らしさが分かってくるからだ。
  3.成長したいという気持ちが衰えている?
  世界中に、競争相手と部材やサービス(広義、コンサルタントや弁護士など企業活動を支援する人を含む)のサプライヤーがいるという外部コンテキスト(競争相手の動きの変化までを含む広い意味での、ビジネスを取り巻く環境条件のこと)の変化は、企業に、「自分らしさ」「専門性」「自律性」を強く要求し始めた。特徴点をはっきりせよという要求である。
一方、内部コンテキスト(自分が利用できる環境条件で能力や資源を含む)として、企業が世界で闘っていくために必要人材を考えると変化に素早く適応できるよう会社を変えることが出来る人材、すなわち、専門性が高く、戦略的に物事を考え、人々を引っ張っていくことが出来るような人材である。こういう人材を組織内一人親方と定義した。自分自身が経営者でもあり、実行にあたる担当者であるような専門家という意味で、一人親方とは英語のセルフ・エンプロイド self-employed にあたる。(前掲書「組織内一人親方のすすめ」)答えを教えられるのではなく、答えを見つける人である。こういう人材に育つには、何よりも成長したいという気持ちが必要だが、セミナーなどの講師を担当しての感想は、最近の部課長クラスの方々の「自信のなさ」と「自己防衛反応の強さ」で、目標を低めに設定する、関心が身の回りのことだけ、意見をはっきり言わないなどが、その特徴である。その為グループ討議をしても良い結論が生まれない。だが、目標が低かったり、変化から目をそらしたり、人と意見を戦わせることを避けていては、成長しようという気持ちは生まれない。対策が必要である。
  次回は対策として何を考えていたか整理してみよう。

以上

 
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