外部コンテキストの変化は、素早く変化に適応するには、企業と個人に、特徴点をはっきりさせよ、と要求している。「あなたの会社は、何がしたいのか、そのためにどういう闘い方をしたいと思っているのか」、個人には「どういう人生を歩みたいのか、そのために何をするべきと思っているのか」、と。環境変化に合わせようとしても、自分を変えるには、多大なエネルギーが必要なので、エネルギーの投入先の優先順位を決める必要がある。
だが問題は、キャリア目標は、遠くの丘の上の旗なので、通常、初めからハッキリしているのではなく、歩いているうちに徐々にハッキリしてくる、という特徴を持っている。
将来は、「企業の経営をしてみたい」というぼんやりした目標が、大学で経営学や経済学を学ぶうちに、日本の将来を左右するのは電機産業だと考え、日立製作所や東芝、ソニーといった企業が抱える課題について研究、その結果、会計学関連のゼミを選択というように、目標が、次第に明らかになったとしよう。当然、努力すべきことや乗り越えるべき障害の内容も徐々に明確になってくる。
このことが教えるのは、「目標とその達成手段を、固定的に考えてはならない」ということだ。大切なのは、進むに従いはっきりしてきたことは何か、を常に把握する努力で、それによって目標も手段も柔軟に変更する姿勢である。