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コーヒーブレーク(75)

 
How to change 時代のキャリア戦略D 個人が準備しなければならないことA 異文化体験のチャンスを積極的に受け入れる覚悟

  個人が準備しなければいけないことの一つに異文化体験がある。海外留学や海外駐在の機会があれば逃してはいけない。転勤の内示は喜んで受けなければならない。これまで触れてきた文化と異なる文化との接触は、能力を高めるよいきっかけとなるからだ。

 

  日立製作所に入社し茨城の工場に配属されたが、いずれ海外勤務もありうべし、と考え、退勤後英会話の学校に通って能力向上に努めたが、本社転勤で中断。本社での業務はとても大変で、そんな余裕はもてなかった。ところが米国の5か所の駐在事務所を一つにまとめ法人化が計画された。当時、駐在事務所に勤務するアメリカ人従業員の処遇制度はそれぞれ事務所ごとに異なっていた。法人化するとなると異なる処遇制度を統合・整理する必要がでてくる。それで、新会社のCEOが人事部長に「担当を一人くれ」と掛け合い、小生に白羽が立ったのだ。

 

  1975年に赴任したが、当時のアメリカは雇用機会均等法が機能し始めた時期で、EEO(Equal Employment Opportunity)関係の訴訟が続出していた。EEO Committee の監査もおこなわれていて、改善命令も頻繁に出されていた。よって第一の仕事は、日本ではなじみのないEEOについて1から勉強し、新会社の人材マネジメントの仕掛けをEEO対応に作り変えることとなった。きっかけは、均等法などに不慣れな日本からの出張者の言動により従業員から訴えられるケースが続発した結果、EEOCの立ち入り検査が行われたことだ。EEOCは、給与体系その他の人材マネジメントの仕組みがアメリカの制度に適合していないと指摘、肯定的雇用計画 AAP(Affirmative Action Plan )の作成を要求した。

 

  AAPの最大のテーマは給与体系の整備で、仕事の難しさの程度により給与を決めるJob Grade 制の導入が不可欠となった。Job Grade 制とは、評価要素を決めて仕事の難しさの程度を数値化し、其の数値によって給与の額を決める制度だが、そのためには職務分析を行わなければならない。日本で同様な職種があるので、仕事ごとの重点課題は何か、必要な知識熟練は何か等は分かっていたのだが、アメリカの現場での作業配分や指揮命令の伝達方法その他は日本と異なる部分も多く、インタビュー調査が不可欠となった。
苦労したのはアトランタ事務所である。英語が違うのだ。アトランタのあるジョージア州は、元フランスの植民地であったため、発音がフランス語に近く聞き取りにくいだけでなく会話にフランス語が混入する。所長の秘書さんに通訳役をしてもらい、何とか完了できた。
 Job Grade 制が出来上がった後は、その制度や機能の説明資料の作成、説明会の実行、苦情処理など一連の作業に追われたが、おかげでjob Grade 制についての理解は深くなった。このあと、アメリカ、日本、フランスの会社のJob Grade 制の導入の支援を行うことになったが、この時の経験が役立ったのは言うまでもない。


  アメリカで日本とは異なる文化に触れたこと、その後フランス勤務を経験したり、国際調達の仕事を通じて、ヨーロッパ、インド、中国などの文化を学ぶ機会に恵まれたこと等で、普通の人に比べればグローバル化の意味が、少し深く理解できるようになったと思う。おかげで人間的にも少し幅が広がったと思うし、いろいろな文化的背景の中でも生活できる自信がついて、ある意味、「生きやすくなった」ように思う。
異文化体験の機会があれば逃さず、積極的に受け入れることをお勧めするしだいである。

以上

 
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