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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.2  概ねの方向を決める手がかり(1)競争の仕方について
  人材組織内一人親方をたくさん育て、上手に活用する仕掛けのことを「21世紀型人材マネジメント」と呼ぶことにしたのだが、21世紀型人材マネジメントという大きなテーマに取り組むためには、きわめてたくさんのことに答えを出さなければならない。歩きながら考えるのが流儀なので、概ねの方向を決めて歩き出すことにしよう。今のところ、21世紀は始まったばかりで、概ねの方向を決めるのに必要な情報はあまり多くはないが、それでも整理すると3つほど手がかりを見つけることが出来る。一つは、競争の仕方についての予測、もう一つは、「最良の答え」についての考え方、三つ目が、これまでの人的資源管理の歴史である。それぞれを深く検討する項は別途立てるとして、とりあえずこの三つの手がかりを順番に概観してみよう。

変わったのは、新しい競争相手と新しい競争の場の出現

  第一の競争の仕方だが、ビジネス・モデルによる競争という様相には、急激な変化は起こらないと思われる。ビジネス・モデルとは、「(1)お客さんは誰で、お客さんにどういう価値を売るか、そして、(2)どうやって収益をあげるか」という二つの質問に答える仕組みのことだが、ビジネスにとって非常に根源的な要素についての問いかけであり、よほど世の中が変わって、たとえば非常な物不足で、誰に売るかは問題ではなく、資材の確保だけが課題、と言った状況が起こったりしない限り、この二つの質問に対する答えを企業は意識せざるを得ない。答え方により企業間に優劣が生まれることは当然である。
  (1)の質問は、「マーケティングの考え方は」と言う質問に、(2)の質問は、「どうやって競争に勝ちますか」という質問に置き換えることが出来る。お客さんは不特定多数で誰でも良いということはありうるが、その場合でも、値段、品質、特定の利便性など提供する価値は、ビジネスごとに決めざるを得ない。
また、収益をあげるためには、通常の場合、競争相手に勝たなければならない。競争相手のいない場所を目指すという戦略もありうるが、そのためには新しい市場を開拓する努力、新しい技術の開発や新しいコンセプト概念の提案が不可欠で、人に先駆けて結果を出さなければならないので、これもどうやって競争に勝ちますかという質問の答えの一つであることに変わりはない。
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  要は、ビジネス・モデルによる競争という特徴点は、21世紀になってもあまり変化していない。変わったのは、ネットビジネスという新しいメンバーが登場したことと、競争の場が世界中に広がったことである。
 

ネットビジネスという新しいプレーヤー

  ネットビジネスが世に出てから10年以上が経過したことにより、ネットビジネスの特徴点は少しずつ明らかになり始めた。オークションなどにより、売り手と買い手を結びつける能力が非常に高いとか、大量の品揃えが可能なため生まれるロングテールの法則など、従来と異なる点も分かってきた。一方で、お客は取引するサイトをどんどん変えたりはせず、思いのほかブランドに対する忠誠心が高く、このためマーケットシェアとかブランドといった古典的な道具が良く機能するということも分かってきた。
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  そうだとすると、既存のビジネスの方も対抗策はいろいろ考えられる。今やネットビジネスに参入することはそれほど難しいことではなくなったのであるから、ネットビジネスをはじめても良いし、大量の在庫は持たない替わりに、お客さんとのフェイス ツウ フェイスの関係を強化し、お客さんの好みをよく理解したうえで、的を絞った在庫を持つ方法も採用できる。
 

「ビジネス・モデルによる競争」は変わらない

 ネットビジネスという新しいプレーヤーの出現は、「競争の速度」に大きな変化をもたらしたことは間違いない。しかしそれ以上に、お客さんは誰でどういう価値を提供するか、どうやって競争に勝つかを、従来以上に深く考えることを要求するようになった。速度は変えたが、ビジネス・モデルによる競争という「競争の仕方」まで変えたわけではないのである。従って、今後も当分の間、ビジネス・モデルによる競争という状況はつづくと考えてよい。では、競争の場が世界中に広がったということは、どう競争の仕方に影響を与えるのであろうか、次回はこのことを検討してみよう。
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「21世紀型人材マネジメント―組織内一人親方に好ましい生態系の創り方―」をテーマに、これからも関島康雄のコラムを掲載していきますのでご期待ください。また、このコラムに関するご意見・ご感想もお待ちしております。
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