チームの目標の説明の一つに、「目標を達成したとすると何が嬉しいか」が含まれなければならないが、これは時々忘れられがちである。自明のこととリーダーが考えてしまうためだが、実際は何が嬉しいかは、職務や組織の方針についての意見によって異なるケースが多い。例えば問題解決の結果、特定部門の業務量が増えることが予想されれば、その部門にとってはあまり嬉しくない。ハイテク企業としてのイメージを大切にしたいと考える向きには、今後先端事業として伸びると思われている分野からの撤退は嬉しくないだけでなく、できれば避けたいことである。
それ故、そうしたデメリットの存在が想定される場合については、対応策について解説する配慮が望まれる。事前に問題解決後の景色について考えておくことは、チームを設立しようと考えた人や、リーダーを引き受けた人が検討しておくべきことである。グループ討議の場合は、「結論が出るまで分からない」ではなく、仮の活動方針の決定時に、特定の人に負荷がかかる解決案とはしない、とか組織の本来のビジョンに沿ったものになるよう努力するといった、ざっくりとした活動の留意点について触れておくことも準備作業として大切である。