上記に参考となるのは、研究開発の効率化に使われる理論である。研究開発は、イノベーションを目標としていて、成功するかどうかの不確実性が高いから、である。
最も普通な方法は、植物の品種を作りだす時に使われる方法で、可能性のある遺伝子を持った種を幅広く集めて育て、成績の良いものだけを残す、という手続きを繰り返すというやり方である。資源配分は、良いものには水や栄養などを補給するが、そうでないものには配分しない方式。人材を広く集め、その中から適材を、時間をかけて選び出していくHRMがこれである。問題点は、時間が掛かることで急激な変化には間に合わない。
これに対して、成功するかどうかの不確実性が高く、キャッシュフローを生むまでに時間のかかる製品や技術の開発に取り組む時にリスクを軽減する方策が「リアル・オプション」と呼ぶ方式だ。開発のステップを細かく分けて、ステップごとに「研究を続けるor中止する」を判断する。続ける場合は「規模を拡大してor縮小して」とか、「急いでorゆっくり」とかの選択(オプション)を付けた判断をする。規模・手段・速度の三つの軸により判断し、それに応じて資源の投入量を決定する。