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3Dラーニング・アソシエイツ

21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.120  HRM戦略再論(3)How to change 時代の戦略目標のつくり方
 
 

変化を当然とする文化は、小さい組織を好む

  環境変化に素早く適応できなければ生き残れない時代の最上位の戦略目標は、「変化に適応するため、自分自身と自分自身を取り巻く環境を変える能力の確保」になる。とすれば、下位の戦略目標の第1は「変化を当然とする企業文化の形成」とするのが自然であろう。 そうでなければ、文化は抵抗勢力なので、方向修正の度に、ただいなエネルギーを消費しなければならなくなる。 一方、適応するのに「時間はいくらかかってもよい」、という訳ではない。素早く適応できなければ、生き残ることはできない。ここに「行軍速度」の問題が浮上する。 行軍速度とは、軍隊が、決戦の場所に兵力を集中するのに必要な移動速度のことだ。敵よりも早く兵力を集中できれば,勝つ可能性は高くなる。変化を当然とする文化は、行軍速度を考える習慣がともなわなければならない。

  行軍速度は、組織や目標によって左右される。行軍速度を上げようとする場合、大軍は適していない。大軍の移動には事前準備、移動手段の用意や補給の確保な どいろいろ手数がかかるからだ。移動や方向転換が素早く出来る小部隊を中心とした作戦を選択しなければならない。また目標は、いきなり大きな目標を選ぶのではなく、多数の小部隊にそれぞれ小さな目標を与え、それを達成した時に全体として、大きな目標を達成する筋道がはっきりしてくるようなものを選ぶ必要がある。方向を間違った場合、直ぐ方向転換できるよう、そして、進むべき方向が正しいと分かったら直ちに全力投球できるよう、小さく賭けるのが行軍速度を上げる場合に取るべき方針なのだ。

 
 

小さく賭けるのを良しとする

  文化は、従来と同じ方法をつづけたいという慣性をもつ。そのため、変えようとする時リーダーはこの慣行を、先頭に立って、破壊しなければならない。どちらの方向に進むべきかについては、答えを持っていないかもしれない。しかし、従来どおりの方法は続けられないという答えは持っている。まづは現状破壊にリーダーシップを発揮しなければ、どちらの方向に進むべきかについての議論は始まらない。ただし、破壊と同時に、建設的な対立が生まれるよう議論をリードしなければならない。Leading in a context of conflict で、今年のワートンのリーダーシップ コンフェレンスのテーマでもあった。

  小さく賭けるsmall bet に適したやり方が、リアルオプションと呼ばれる方法である。たとえば、受注が好調なので生産量を増やすため工場を建設する場合、建設コスト100円の工場を1棟建てるのではなく、半分の大きさの工場をコスト60円で2棟たてるようなやり方で、2棟目は、受注の伸びを見ながら着工時期を判断する。1棟を建てる場合よりもコストはかかるが、予想が外れた場合、資金回収のリスクは小さくなる。 1棟目も初めからフル生産が可能な設備を全部入れるのではなく、徐々に増やしていく。そのための判断基準も、単なる受注額ではなく、新規顧客からの受注比率や機種別の受注傾向などにより細かくステージ分けをおこない、新規顧客からの受注が20%を超えたら需要は強いと考えフル生産能力とし、30%を超えたら2棟目を着工するなどの基準をあらかじめ策定して、リスクの軽減を図る。

変化を当然と考える人材

  文化は、組織学習の結果生まれる。学習結果は、個人と組織の両方に蓄えられる。それ故、変化を当然とする文化には、変化を当然として受け入れる人材がいなければならない。 その時求められるのが119で述べた「従来のやり方を破壊するだけでなく、意見の対立が化学反応をうむよう場をリードするリーダー」の存在である。フォロワーの方は生まれた化学変化、すなわち新しい考え方や新しいアプローチの方法を使って現状を改善することに果敢に取り組むことが求められる。 挑戦の結果は、失敗も成功もありえる。肝心なことは、それらから学び、成功しても失敗しても一挑戦ごとにチームとして強くなること、である。変化を当然と考える人材は、経験を振り返り、そこから教訓を引出し、次に生かすことが出来る人材でなければならない。このような人材をそだてることが、「変化を当然とする文化」の下位の「具体的戦略目標」となる。次回は、変化を当然と考える人材をどう育てるか、について考えてみたい。

 

※続きは、10月に掲載予定。

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