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3Dラーニング・アソシエイツ

コーヒーブレーク(28)

 
ブレンド型e-learning の開発VI
 

クイズの役割

  「第3回マネージャーのためのリーダーシップ入門」では2章の終わりと4章の終わりに、クイズが設けられている。クイズの役割の一つは進捗管理である。パスワード発行後なかなかクイズの回答が送られてこなければ、取組が進んでいないということになる。こういう場合、パスワードの有効期限は2週間なので早く進めるよう、メイルが事務局より送られる。

もう一つの重要な役割は、学習の仕方を振り返らせることである。セミナーのコンセプトは、「答えを教えてもらう、ではなく、答えの見つけ方を習う」なので、そのための予習として自分の学習の仕方を振り返ってもらいたいのだ。そのためのクイズである。

 

全問正解が必要

  2章の終わりにクイズがある。クイズは3問あり、合格には3問全部正解することが必要である。どれかを間違えると、「不正解があります。もう一度学習しなおして、再度クイズに挑戦してください。二度目のクイズに全問正解できない場合、パスワードが一旦無効になります」という表示が出る。どの問題を間違えたかは表示されないので、どれを間違えたかは自分で考えることになる。

二度目も間違えると、「パスワードを無効にしました。二度目のクイズに全問正解できなかったためにパスワードを一旦無効にしました。学習方法に問題があると思われますのでアドバイザーと相談してください」という表示でショックを受けることになる。

 

間違え方に学習の仕方が反映する

  実は一回目の不合格判定に、二通りの反応の仕方があることが北大での経験から分かっている。多くの人が、間違えたと思うところだけ学習し直す。このグループから再び間違える人が出る。少数の慎重派は全体を見直すので、二度目も失敗をする人はまれになる。

4章の終わりに再びクイズがある。前回のクイズを、たまたま一回でパスした人の中から不合格が出る。前回うまく行ったため学習方法の振り返りをしていないためだ。前回を二回失敗し、パスワードの再発行をうけ追試を受けた人からは、再び失敗する人はめったに出ない。クイズの正誤は学習の仕方を反映する。

 

勝手読みは困る

  クイズの設問は難しいものではないが、「分かった、分かった」と、どんどん先に進むと間違えやすいものにしてある。新しいコンセプトに出会ったとき、少し立ち止まって考えて欲しいのだ。北大の場合受講生は、工学部の修士と博士課程である。実験はある仮説の元に計画されるが、実験の結果を自分の都合のよいようにだけ解釈していては、仮説は検証できない。「違う読み方もできるのでは」という思考が大切である。
そのためクイズに連続して失敗すると、「担当教授の研究室に来るように」という指示が出る。勝手読みはNOなのだ。社会人の場合も、市場調査の結果を自分に都合よく読んでしまうと製品開発に失敗する。立ち止まって「問題の答えはこれでいいのか」と考えることの大切さを、クラス討議の予習として教えているのだ。
 

学生と社会人の違い

  最初、e-learningを設計するにあたり、クイズに対する反応には大学生と社会人では、大きな違いがあるのでは、と考えた。そこで、トライアルの結果を見てクイズの作り方を修正するつもりであった。ところが結果は、驚くほどよく似ていた。それで本番も北大の場合と作り方を同様とした。

第3回マネージャーのためのリーダーシップ入門の受講生10人の反応は、予想通りの結果となった。理由はおそらくe-learning の性質、自分で進捗速度を決められる、というあたりにあるのではないかと思うが、まだサンプル数が少ないので何とも言えない。取り敢えず、ブレンド型を社会人に適用してみた結果が出たので、次回はそれを紹介し、今後の方向について考えてみたい。

つづく

 

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