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コーヒーブレーク(76)

 
How to change 時代の戦略F 会社が準備しなければならないこと 流動化対応@
 

ジョブ型とメンバーシップ型

  一般的には、ジョブ型給与が主流の場合の方が、メンバーシップ型給与が主流な場合より労働市場の流動性は高いといわれるが、その根拠は必ずしも明確ではない。米国の労働市場と日本の労働市場の比較から出てきた意見と思われる。
  ジョブ型だと市場の状況が分かりやすいので、「次はどの仕事に就くかを自分で計画を立てることが出来る」が、メンバーシップ型の場合は、次の仕事は周りの状況にも左右されるので、「自分一人では決めにくい」という違いがある。よって、どちらかというと自律性が高い人が多い市場では、ジョブ型が好まれるというだけで、ジョブ型だと流動性が高くなると決めつけてはいけない。

 

仕事別賃金の普及度に留意

  仕事別賃金が普及し、仕事別の市場価格が明らかになってくると、市場価格の変動に対応して人は動く。それゆえ人材マネジメント担当者は、労働力の需給関係だけでなく、自分の業界の仕事別賃金の普及率に留意しなければならない。普及率が低ければ、仕事ごとの価格を自分で決められるが、普及率が高くなれば市場価格に従わざるを得ないからだ。
  仕事の内容の定義の仕方は、本来は企業ごとに異なる。例えば人事課長としてする仕事には、採用や評価制度の設計など一般的に共通する仕事のほかに、財界での委員会活動やOBの面倒見等、企業の業界での位置や独自のニーズにより特別に加わる仕事が存在する。よって、共通部分と付加部分を明確に区分して職務記述書は書かれなければならない。共通部分が市場価格に対応し、付加部分は付加給付という形になるのが普通である。

 

仕事別賃金の普及度に留意

  How to change 時代では、変化に適応するためには、自分の持っている能力を、変化に合うよう変えていかなければならない。そのためにいわゆるリカレント教育の必要性が、会社、個人の双方にとって重要になってきている。
私が設計したリカレント教育の代表は、日立の経営研修所の所長時代に作った200時間モデルである。拙著「Aクラス人材の育成戦略」に詳しい説明があるが、概略すると
 対象:課長以下のポストにある人で、将来経営者を目指そうとする人
 学習時間:3年間で200時間
 学習内容:大きく分けて1.経営に関する基礎的係数の理解 2.戦略的思考
3.リーダーシップなどマネジメントに必要なスキル 4.広い視野やビジョンを与えるもの、の4分野とした。
各分野の具体的な内容は、
1.アカウンティング、損益管理、キャシュフローマネジメント、ファイナンス、企業価値と株主価値、統計分析とその結果の応用
2.事業戦略、R&D戦略、マーケティング戦略、戦略的提携交渉、戦略的アウトソーシング、M&Aおよびアライアンス
3.変革のためのリーダーシップ、プロジェクトマネジメント、人間関係とリーダーシップ、
  ロジカルシンキング、異文化コミュニケーション、交渉力、組織構造、人事・モチベーションシステム
4.サプライチェーンマネジメント、IT革命とビジネスモデル、ワールドワイド・ソーシング、企業を取り巻く法律
という内容で、多少手を加えれば現在でも十分役に立つカリキュラムだと思う。

以上

 
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