部下の成熟性以外にも考慮に入れなければいけない「状況」はいろいろある。例えば職務の特性である。職務記述書で規定された職務の範囲が狭ければ、リーダーがフォロワーに期待することとして広い範囲のことを提示しても、実力的に、あるいは職務権限の上で実行できないことが出てきてしまい、動機づけにかえって悪い影響を与えかねない。また、成熟度の低い部下には指示命令型、と前項で述べたが、マニュアルや作業指示書が整備されていたり、指導員が配置されたりしていれば、それらがリーダーの指示の代わりをするので、リーダーは細かいことを言わなくても済む、という「状況」もある。
リーダーの意思決定の際どのくらい部下の意見を取り入れるかという問題もある。通常上司は広い範囲の問題を取り扱うので、特定の問題、(人事勤労部門でいえば年金と昇給制度の関係など)については、部下の方が詳しい場合も多い。そのため部下の意見を取りあえず聴く必要が出てくる。採用するかどうかは別途判断するとしても、今後の議論にどの程度参加させるかは、決めた方が良い。これも「状況」の一つである。