不確実性が高い時代、会社は「明日からサッカー」というような業態の変更を迫られる。進むべき方向がある日、突然分かるからだ。それに備えて個人も普段から準備をしていなければならない。その準備の第一が、1年分の年収に相当する金額の蓄えを持つことだ。
「サッカーはいやだ。他所のチームに移って、野球を続けたい」と思っても、すぐに別なチームにポストが見つかるとは限らない。失業中の生活を支えるお金が必要である。
年収の1年分を蓄えよ、という指示は、大学卒業時、ゼミの指導教官である坂本二郎先生からいただいた。「断固として自分の信じる道を進むためには、意見の衝突を恐れてはならない。仕事を失うことを恐れて正論がはけないようでは、責任ある地位は保てないし、部下も守れない。もらった給与を無駄遣いせず、できるだけ早く蓄えよ」が先生の命令であった。