職位階層も分業なので、分業が持つ特徴点は免れない。職位が異なれば、考え方、感じ方も違ってくる。課長クラスは人を使って結果を出すのが仕事だが、部長となれば、それだけでは十分でなく、職能分野でビジネスに貢献する結果を出すことが求められる。
当然、職位間に壁ができる。この壁を超えるためには、上下の意思疎通が重要で、部長は「自分は何をしたいか、部下には何をしてほしいか」を普段から明確にしておく必要がある。課長も「自分がなにを実行しようとしているか、部長にしてほしいと思うことは何か」をはっきりと伝えておく必要がある。階層が多いと越えなければいけない壁の数が増加し、便利さは少なくなる。階層が少なければ、壁は少ないが、決定しなければいけないことの範囲が増加するので、能率は下がる。
また職位階層も組織なので慣性を持つ。ひとたび課長といったポストができると、そのポストが仕事や環境の変化で必要がなくなっても、引き続き任用が行われるというケースが発生するし、二つのポストを一つに統合しようとすると抵抗が起きる。階層は多すぎても、少なすぎても効率は低下する。それゆえ職能組織の場合と同様、階層があった方が便利かどうか常に原則に戻って考えることが求められる。