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21世紀型人材マネジメント
 -組織内一人親方に好ましい生態系の創り方-

 
VOL.131HRM戦略再論(8)How to change 時代の戦略目標の作り方H仕事別賃金E従来型の賃金と仕事別賃金はどこが同じで、どこ違うか

  神林竜一 一橋大学教授の意見(ジョブ型雇用と日本社会 日経 ’20 12月4日)
1.ジョブ型雇用という言葉は、労働政策研究研修機構の濱口労働政策研究所長が、いわゆる日本的雇用慣行を「メンバーシップ型雇用」と呼び直し、その背反として定義したことで広まった。そのため日本的雇用慣行ではないものすべてを含んでおり、論者により意味が異なる。
2.ジョブ型雇用は職務給。欧米では同じ職務を遂行する限り能力を評価する契機に乏しく被用者の技能形成を人事管理制度の中に入れ込めないなどの欠点があり、20世紀半ば以降衰退。ジョブ型雇用の導入は単純な職務給への復帰ではない。
3.有力なのは「職務記述書」を活用しつつ成果給を採り入れる人事管理施策という解釈
職務記述書は労働契約の内容で使用者と被使用者が合意したもの。成果給と結びつけるのは難しい。
4.職務記述書が広く用いられているのは派遣労働者。賞与、一時金が支払われるケースは少ない。
5.職務記述書を重視するのであれば、日本的雇用で認められた広範な人事権を一定程度あきらめねばならない。
6.現場での生産性向上は見込みにくい。
7.日本でジョブ型雇用を広めるには、職務の明確化と契約の柔軟性という二兎を追う必要がある。柔軟性のためには契約にグレーゾーンが必要。
ジョブ型雇用は、契約の力を借りて日本的雇用慣行の曖昧さを減らすという程度の問題でしかないともいえる。

関島の意見
  神林先生の意見は、ジョブ型雇用の賃金制度であるジョブグレード制の運用についての知識が十分でないことが原因で、実態に即していない。例えば、3の「成果との結び付けが難しい」だが、成果にはいろいろなものがある。個人の能力の伸長もその一つだが、個人の能力が伸びるに従って、その対価を支払う方式は、月額給与の決定方式としてジョブグレード制に組み込まれている。一方、業績に対する貢献は、月額給与が確定すれば、一時金(賞与)= 個人の給与(月額)X 月数(貢献度を反映) という形で対価を支払うことができる。
ジョブ型雇用には、ジョブファミリーという概念がある。例えば、人事関係の場合、人事担当、労務担当といった担当レベルから人事主任、労務主任などの中間レベル、その上に人事課長、労務課長などの課長、その上に人事部長、勤労部長、更に担当役員、といった職務の階層がそれだ。通常、人はこのジョブアミリー内のルートに従って成長する。上位の職務の内容を日頃目にしているので、努力目標を掴みやすいためだ。
ジョブグレード制では、上位の階層ほど高いジョブグレードあたえられ、グレードごとに 給与の巾レンジレートが定められている。日立フランスに導入した時の事例を示そう。

グレード   レンジレート(単位フラン)
  2 84,000 〜 106,000
  4 97,000 〜 147,000
   、     、
   、     、
  8 145,000 〜 245,000

レンジレートは4等分されていて低い方から順に、第一クオータイル、第二クオータイル
と呼ばれる、性格付けされている。第一クオータイルはその職務について新しい人向けの給与,第四クオータイルは、経験を積んで上位の職務に就く準備が整った人の給与である。
定期昇給の査定にもこの区分が使われ、クオータイルが上に行くにつれ昇給率は下がるようになっている。評価とクオータイルの関係は以下で、給与が第4クオータイルになれば、「このままでは給与は上がりにくいですよ、そろそろ上位職務にチャレンジするか他の仕事に就いてはどうですか」と、異動を促すためだ。

評 価   Quartile
    1   2   3   4
5 優 秀 8 〜 10 % 6 〜 8 %   5 〜 6 %   4 〜5 %
4 平均以上 6 〜 8 % 4 〜 6 % 4 〜 5 % 3 〜 4 %
3 平 均 4 〜 6 % 3 〜 5 % 3 〜 4 % 2 〜 3 %
2 要改善 3 〜 5 % 2 〜 4 % 2 〜 3 % 1 〜 2 %
1 不満足 0 〜 2 % 0 〜 2 % 0 〜 0 % 0 〜 0 %

次回は日本的慣行との関係について検討しよう。

※続きをお楽しみに。

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VOL.18(5)長期報償給( Long term incentive plan )(5.処遇 2008年6月掲載)

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VOL.16(3)個人が、自分を代表する人を選ぶ(5.処遇 2008年4月掲載)

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VOL.11(1)わが社は、こういう人が好き(4.人材の特定 2007年10月掲載)

VOL.10(4)部品の山の再定義(3.HRMの創り方 2007年9月掲載)

VOL.9(3)施策の束の作り方(3.HRMの創り方 2007年9月掲載)

VOL.8(2)簡単にマネされるものと、そうでないもの(3.HRMの創り方 2007年7月掲載)

VOL.7(1)ビジネス・モデルを支援するHRM(3.HRMの創り方 2007年6月掲載)

VOL.6(5)正義の味方かダークサイドか(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年5月掲載)

VOL.5(4)最良か最善か、それとも基本と応用か(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年4月掲載)

VOL.4(3)世界均質化か、それとも多様化か(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年3月掲載)

VOL.3(2)グローバリゼーション3.0(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年2月掲載)

VOL.2(1)競争の仕方について(2.概ねの方向を決める手がかり 2007年1月掲載)

VOL.1モチベーションとは、The Energy to Do(1.はじめに 2006年12月掲載)


「21世紀型人材マネジメント―組織内一人親方に好ましい生態系の創り方―」をテーマに、これからも関島康雄のコラムを掲載していきますのでご期待ください。また、このコラムに関するご意見・ご感想もお待ちしております。
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